Keo(外来診療棟看護マネージャー)の忘れられない患者さんのストーリー2022.08.01
外来診療棟看護マネージャーであるKeo(ケオ)の看護師としてのキャリアは、25年。
彼女がこれまでに助けてきた患者さんは数多く、その中でも忘れることのできない患者さんとのストーリーがあります。彼女から聞いたストーリをお届けします。
Keoはラオ・フレンズ小児病院(LFHC)開院時よりずっと働いているスタッフです。子供たちへの愛情にあふれ、彼らのために働くことが喜びにつながると感じていた彼女は、それまで働いていたルアンパバーン県立病院からLFHCへ移ることを決めました。ある日、新生児病棟から呼び出された彼女は、出産したばかりの母乳の出ないお母さんのお世話をすることになりました。お母さんと話をするうちに、お母さんとの間に何か特別な繋がりを感じたそうです。
生まれた赤ちゃんの体重はわずか1.3kg。それまでに出産した4人の赤ちゃんはみんな亡くなってしまっていました。彼女はお母さんの気持ちを落ち着かせるためにお母さんの話に耳を傾け、母乳が出やすくなるようにとマッサージを行いました。
その後も毎日新生児病棟へ通い、毎回お母さんが泣いている姿を目にしていました。お母さんは赤ちゃんの健康状態をとても心配し、これまでの子供たちと同じように死んでしまうのではないかと怖がっていたそうです。悪い方へ悪い方へと考え続けてしまった結果、お母さんの健康状況も悪くなり、少しですが出はじめていた母乳がさらに減ってしまうという状況に陥ってしまいました。
Keoは、お母さんに彼女ができる限りのことをすると約束しました。母親としての気持ちを理解している彼女は、お母さんが経験しているすべての痛みを同じように感じていました。不安を取り除くためにそれからも新生児病棟を訪問し続けたKeo。お母さんの体調も少しずつ良くなり、母乳の量も増えてきました。訪問の間、お母さんへは生まれたばかりの赤ちゃんにどのように母乳を与えるのか等を色々と教えていました。
1か月半後、赤ちゃんは母乳を飲めるようになりました。赤ちゃんの体重も増え、健康状態はとても良くなり、2か月間の入院生活を経て無事に退院の日を迎えることが出来ました。
再診の際にお母さんと赤ちゃんが元気に、幸せに過ごしている姿を見ることができてとても嬉しかったと話してくれました。
Keoは以前日本で看護研修を受けた経験もあり、Compassionate care(質の高い心のこもったケア)とは何かを良く理解し、ベテランスタッフとして看護部をリードしてくれています。4人の子供を亡くし、不安だらけだったお母さんにとって、Keoの存在はとても大きかったと思います。Keoのようなスタッフがいてくれることをとても嬉しく思います。