フレンズJAPANブログ

ラオスと日本の医学生2021.05.28

アクセスいただきありがとうございます。
東京女子医科大学6年の小松恵です。

学生ブログの企画第一弾は、「ラオスと日本の医学生」をテーマに記事を書かせていただきます。

 

私は大学1年生の夏に、タイのコンケン大学で災害医療をテーマにしたサマーキャンプに参加したことがあります。災害の多い環太平洋のアジア諸国から医学生が集まり、ワークショップやグループディスカッションなど大変充実した時間を過ごしました。授業の内容も有意義かつ勉強になりましたが、1番驚いたことはそれぞれの国で医学部のカリキュラムや臨床実習の内容、また将来のキャリアプランが大きく違うことでした。しかし、当時1年生の私には日本の医学部についてさえ十分な知識がなかったので、間違った理解をしていたかもしれません。そこで、6年生になり、国は違えど同じ医師を目指す者としてどんなことを勉強し、どんなことに興味を持っているのか改めて知りたいと思い、今回ラオスの医学生にアンケートに答えていただきました。

 

現在ラオスで活動されている看護師の赤尾さん(フレンズJAPAN代表)と赤尾さんの共同研究者でありラオ・フレンズ小児病院(LFHC)に勤務されている女性ドクターSengdeuane CHIRDCHUNG先生にご協力いただき、3名のラオスの医学生Meeさん、Phoutthasoneさん、Sengthienさんに回答していただきました。(みなさんの素敵なお写真も送っていただいたので、ブログの最後に掲載させていただきます。)

 

まず、ラオスには5つの医科大学がありますが、学士と修士の両方を取得することができるのは、首都ビエンチャンにある大学だけです。他の4大学では学士までしか取得できないそうで、日本の医学部82校に比べると医学部入学は非常に狭き門であることがうかがえます。また、入学試験では数学、化学、生物、物理が課せられます。ご回答いただいた医学生は3名ともとても丁寧で分かりやすい英語だったので、入試科目に英語が入っていなかったことは少し驚きました。

 

医学部でのカリキュラムを比較すると、13年生は日本の医学部と似ていましたが、46年生の高学年は異なる点がいくつか見つかりました。まず、ラオスでは45年生は午前中に病院で臨床実習を行い、午後は大学で授業を受けるそうです。日本では座学は4年生でほとんど終了し、56年生は病棟の実習だけになるので、実習に集中しすぎると、意外と基本的な知識が抜けてしまうことがあります。実習と座学を同時に行うカリキュラムは学びをすぐに実践できる良い方法だと感じました。異なる点で1番驚いたのは、ラオスの6年生の臨床実習についてです。6年生になると大学での授業がなくなる代わりに、4日に1度は夜間帯での実習があり、さらに週末は24時間体制のオンコール(患者の急変時や、救急搬送時に呼ばれればいつでも対応できるように待機していること。)を医学生も行うそうです。日本ではオンコールは研修医になってからですが、ラオスでは私と同学年の学生が任されているのかと思うと、ラオスの医学生を尊敬する気持ちと同時に、自分ももっと責任や主体性をもって実習に臨まなくてはいけないと気が引き締まりました。


またラオスでは専門として産婦人科の人気があるということも驚きました。ラオスでは避妊や育児について国民の知識がまだ十分ではないけれど、最近では医学教育や他国からの協力により周産期死亡率、妊産婦死亡率が下がっているそうです。日本の産婦人科は世界トップクラスの安全性を誇っていますが、勤務時間が長く、訴訟が多いため人気のある診療科とは言えず、医師の人数が不足しているのが現状です。私自身、産婦人科医を目指しているのですが、同じ目標の友人が少なく寂しいなと思っていたので、遠い海の向こうで多くの学生が産婦人科に興味を持って勉学に励んでいると知ることができ嬉しかったです。

 

他にも新型コロナウイルスや余暇の過ごし方など様々な質問に答えていただきました。自分が恥ずかしくなるほど3名とも高い意識で社会問題について考え、実際に行動されていました。特に、休日には積極的にボランティア活動を行なっていること、大学生の間では新たな言語を学ぶことがトレンドとなっていることなどを知り、私にとっても残り少ない学生生活で何ができるかを考えるきっかけとなりました。

 

最後に、日本に対するイメージや知ってることをお尋ねしたのですが、親切で真面目な人が多い!食べ物が美味しい!アニメが有名!など、他の質問に比べ漠然とした答えだったことも印象的でした。私自身、フレンズの活動を知るまで、全くラオスについて知らなかったことを思い出しました。いつか日本に留学したいと回答してくれた学生もいらっしゃったので、日本について詳しく紹介して興味を持ってもらえたら嬉しいなと思いました。


茶道の千利休の言葉に「小さな出会いを大切に育てていくことで、人生の中での大きな出会いになる」というものがあります。今回ご協力いただいた医学生の方々にも、いつか直接お会いして、お互いの国の文化や医療について語ったり、同じ医師としてどんな夢があるか、どんなことを頑張っているのか共有したりできたら素敵だなと思いました。
アンケートにご協力いただいたMeeさん、Phoutthasoneさん、Sengthienさんそしてご縁を繋いでくださったSengdeuane CHIRDCHUNG先生、赤尾さんありがとうございました。

 

この学生ブログを通して、読者のみなさまも含め、小さな出会いが大きな出会いへと繋がっていきますように。

今後は私だけでなく、さまざまな分野を学ぶ学生にインタビューやアンケートを行い、記事にまとめてもらおうと思います。広い分野の学生ブログが入り口となり、フレンズの活動に興味を持っていただけたら嬉しいです。


次回は、私にフレンズとの出会いをくださった恩師にインタビューしてまいります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

2021年5
小松 恵

 

 

 

 

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